物語『慈悲の不在』


 ウィンターネディアWinternadirの集落では、多くの旅人が足止めを食っていた。
ここではもう丸二年も冬が続き、峠が越えられなくなっている。毛皮を運ぶ隊商の商人が冒険者たちに依頼を持ちかけた。

 村の言い伝えによると、近くの谷に古い礼拝所があるらしい。
かつてそこには慈悲の聖母の遺物があり、儀式を行なうことで恐ろしい寒波を遠ざけたという。
だが今は遺物も失われ、礼拝所は打ち棄てられている。
君たちはこの遺物を取り戻し、極寒の地に春を取り戻さなければならない。